音楽人生を変えられたといっても過言じゃないバンド THE USED!!5作目のアルバムが[Vulnerable]が発売されたことを記念(?)し、ディスクレビューしたいと思います。
The Used (2002)
この作品は本当に衝撃的だった。当時はニューメタル的なバンドがまだ幅を利かせている頃で、どちらかというと音的にはヘビーでガチっとしたバンドが主だった。でもこのバンドはそれらとは明らかに一線を画し、荒々しく感情のままサウンドを鳴らした。もちろんそういったバンドが他にいなかったわけじゃないけど、ボーカルのバートの吐血絶叫とガラス細工のように繊細で美しい歌を共存させたスタイルは、当時の俺の知る限り、唯一無比だった。これまで体感したことが無かったような感情移入を味わったよ。様々な感情が胸の底から溢れ出てし、切なくなるし悲しくなる。でも落ちていくようなネガティブな感覚ではなく、暗闇でもがいて光を探し出すような、そんな作品だ。チンケな応援歌なんかよりよっぽど生きる力を与えてくれるよ。俺はお墓まで持っていくよ、このアルバム。
(ただ、この時期に来日ライブを見たんだが、これはいまいちだった。曲間はやたら長いし、バートは頻繁にバックに引っこんでた。体調不良だったのかな?今ならもっといいライブすると思うけど。)
私的お勧め度★★★★★
In Love and Death (2004)
ポップな要素はよりポップに、ハードな部分はよりハードになった2nd。前作より丁寧なプロダクションで[愛と死]というテーマを表現している(このジャケットは大好きだ!)。初期衝動は明らかに薄らいだが、荒々しさで隠れいた彼らの高度なソングライティング力が露わになっている。絶叫と美メロで注目を浴びた彼らだが、それらを土台として支えていたのは高品質な楽曲たちだったことを再確認できる。"All That I've Got"なんて名曲としか言いようがない。
私的お勧め度★★★★☆
Lies for the Liars(2007)
ジャケットのような不気味な世界を描きながらも、メロディーやプロダクションはメインストリームを意識した丁寧なもので明らかに聞きやすさを意識している。演奏面ではハードロックやメタル調の[熱さ]が加った。ただ、その真新しさがthe usedの中で上手く機能しているかといえば、正直微妙。売れたいのか、マニアックでいたいのか、新しいことがしたいのか、自分ららしさを残したいのか、はっきり見えてこない。むしろその全てを詰め込もうとして、なにもかもが中途半端になった感が強い。迷走していると言わざるを得ない作品。
私的お勧め度★★☆☆☆
Artwork (2009)
前作のような不器用なギミックは鳴りを潜め、ストレートなロックサウンドがなっている。よく言えば王道、悪く言えば当たり障りない売れ線サウンドだ。バックだけ聞けばアメリカで受け入れやすいオルタナメタルにかなり近く、従来からのエモの要素は薄い。かろうじて特徴的なバートの声だけが、the usedであることを示している。ただ、ソングライティング力の高い彼らなので、過去の作品と比べれなければ、なかなかの良作だとは思う。
私的お勧め度★★★☆☆
Vulnerable (2012)
前作で鳴らした王道路線にダークなエッセンスを加えたような5thアルバム。解りやすく言うと3nd×4thだ。3ndの頃よりはギミックの使い方に色気が出たように感じるが、それでも斬新と呼べるほどの要素はない。また、3ndぐらいからそうだったが、どうでも良い曲が増えてきている。はっきり書くけど、売れ線なのに売れそうな曲がない。
2ndの頃のようなハイレベルなメロディーを書いてほしいし、無理ならもっともっとアグレッシブに行くべきだ。今の彼らぐらいのバンドならゴロゴロいると思う。どうか次作はもっと吹っ切れた作品にしてほしい。
私的お勧め度★★☆☆☆
the usedを愛するがゆえに、ちょっと手厳しくに書いたけど、ファンの人は気を悪くしないでね。
the used は俺の音楽人生を変えたバンドなのだ!